日本基督教団 原宿教会ひばりヶ丘教会
設計概要



名称    日本基督教団ひばりが丘教会
所在    東京都田無市谷戸町
用途    教会
規模    地上3階
構造    鉄筋コンクリート造/屋根:米松集成材
敷地面積  333.48平米(100.88坪)
建築面積  149.35平米(45.18坪)
延床面積  319.24平米(96.57坪)
竣工年月  1994年3月




光のモザイク

 日本基督教団ひばりが丘教会は、武蔵野の面影を残す東京都田無市の、閑静な住宅地の一角に佇むプロテスタントの教会である。牧師が開拓伝道を始めたのは40年前である。移転すること4回。この地に移ってから30年。すっかり使い込まれた建て替え前の教会は、自然と同化し、なかば朽ちかけながら大地と同化して建っていた。付近は住宅が建ち並び、幹線道路から入り込んだ袋小路のため自動車が通り抜けできないこともあり、活気に溢れた教会員と住民たちが路地コミュニケーションを形成して親密な外部環境を形作っていた。これは、親分肌で行動的な牧師の人柄と、会員の方たちの明るさによるところが大きい。こうしたことを知っていくうちに、地域に,そして路地に開かれたシンプルで清楚な佇まいの教会のイメージが出来上がっていった。

 この教会は、鉄筋コンクリート造3階建て(一部鉄骨造)で、110席を有する礼拝堂、ギャラリー、日曜学校室、厨房、牧師室等から構成されている。南北に長い敷地に対して、礼拝堂空間を南に向けて配置し、礼拝の行われる朝の光に対する配慮をした配置計画となっている。教会の建物は、量的にも質的にもある程度の重さのあるものをと考え、シンプルで量塊感を出すためコンクリート化粧打ち放しとした。そして、開口部はこの塊からくり抜くように扱った。建物はアプローチとエレベーターからなるマッシブなコアと、礼拝堂と日曜学校室からなるダイナミックな屋根の乗ったコアの2つのブロックからなり、これを大きなゲートで繋いだ構成となっている。この外部空間のゲートは、教会の入口であり、敷地への入口でもある。また、隣接する牧師住宅への入口でもあり、駐車場への入口ともなっている。そして同時に、これは教会の近隣の方々に対して開かれた、イエス・キリストに触れる門でもある。外部には、8台分の駐車場と20台分の駐輪場を設けている。
 アプローチからゲートを抜け1階のエントランスホールに入ると、その先に階段が続く。階段室に高さ8mのスリット窓があり、上部からこぼれ落ちる光によって2階の礼拝堂に導かれる。その礼拝堂には、松集成材の梁を曲面状に架け、柔らかな拡がりを持った空間となるよう工夫した。礼拝堂内の東側壁面には20個の形の異なる窓を設け、この窓を通し光がモザイクのように輝き礼拝堂内に降り注ぐ。わずかな光と影の変化を映し出す内壁は、プレーンな白で統一した。正面聖壇のタイルに朝日が映える時、表面の材質は光のひだで目を覚ます。日曜の朝には、陽射しと影とが礼拝堂内を戯れる。忙しさに追われた現代人が、静かな祈りの時と変わらぬ確かな空間を感じることが出来れば、これ以上の幸せはない。ステンドグラスは洋画界の長老田中忠雄画伯に力を奮って戴いたが、この春、天に召されこれが遺作となってしまった。夜ともなると、R屋根の軒裏のスリットから外に漏れる光が路地を照らし、道行く人々の足元を照らし始める。
 これら目に見える光だけでなく、この教会が広く地域の人々の心を照らし、その行く手を導く役を担ってゆくことを祈りたい。