日本基督教団 九段教会
設計概要
名称 日本基督教団九段教会
所在 東京都千代田区九段北
用途 教会+牧師館
規模 地上3階、塔屋2階
構造 鉄筋コンクリート造
敷地面積 476.39平米(143.82坪)
建築面積 365.49平米(110.34坪)
延床面積 913.66平米(275.83坪)
竣工年月 1994年12月
天に聳える
この建物は千代田区九段に建つ日本基督教団九段教会である。日本に現存するプロテスタント教会として120年の歴史を持つものは全国でわずか10を数えるにすぎない。その長い歴史を、靖国神社の隣に建つ教会として位置付けられ、幾多の風雪に耐えて来ましたが、創立120周年記念事業として建て替えられた。ヘレニズム彫刻の最高傑作といわれる「サモトラケのニケ」といわれる女神の彫刻が、ルーブル美術館の階段の踊り場に展示されている。この像は、2つの翼を大きく広げ全身に風を受け、舟の舳先で行く手を導いている。この像は、帆船に乗っていたのではないかと想像されているが、その多くを失っているため、詳しくはわからない。ただ、「順風ではなく強い向かい風に向かって風に耐え立ち尽くしている。」ことが、彫刻の足の筋肉の付き方から解明されている。きっと、この「サモトラケのニケ」を乗せた帆船は風を掴み、帆を巧みに操りながら、航海を繰り返していたのではないだろうか。
日本におけるキリスト教の歴史も、九段の地におけるキリストの教会としてのこの教会の歴史も、おそらく「サモトラケのニケ」の乗った舟の如く、イエス・キリストの御言葉を帆に受け、ある時は嬉しい知らせを、またある時は困難を帆に受け歩んできたであろうと想像した。これらのイメージを何とか形として表現し、形としてもメッセージが込められたらと思い計画を進めた。
今、九段教会は新しくなり21世紀に向け、明日への風を受け、信仰の風をはらんで都会の中に滑り出そうとしている。新しくなった九段教会において、光のうつろいを感じ、忘れかけてしまった「自然」と「時」を取り戻し、幾多の人々の歴史を想い、人々が静かに祈りのひとときを持つことができたら幸いである。建築設計の進め方や手法はいろいろあるが、今回はただ単にスケッチを描いたり模型を作るばかりでなく、イメージを散文にしてみたり、折り紙を作ってみたり、聖壇壁面パネル自作のため鋳物工場で粘土をこねたりとといろいろなアプローチから設計に取り組むことができた。